入来峠をご存知ですか?入来峠は鹿児島市内から国道328号線を入来町に向かう途中にある峠です。
今は道路もよくなり通り易いのですが、昔は樹木が生い茂った寂しい場所でした。
今日はそこに伝わるお話です。
江戸時代、入来と言うところは入来院と名乗る地頭が支配していました。地頭というのは
薩摩の殿様の家来で普段は城下にすんでおり、仕事の度に入来に来ていた。あるときこの
入来院の地頭様がぽっくり亡くなった。亡骸は入来の地に納めることが決まりになっていたので
地頭様の亡骸を入来の地に運んでいきました。秋の日でしたので日が短く入来峠にさしかかった
時はすっかりあたりは暗くなっていました。
棺を担いだ行列がそこを過ぎようとしたとき、重いはずの棺が急に軽くなりました。
あれ?おかしいぞ!一行は不思議に思い棺をそっと開けてみました。
棺をあけると御遺体が空中に....みなびっくりして腰をぬかしました。
御遺体は見る見る山のかなたに飛んでいきました。
これは1度だけではありませんでした。それから何回も地頭様が亡くなるごとに御遺体が
空中に...。人々はこれは化け猫が亡骸を食っているんだ。と噂しはじめました。
中には黒い大きな猫を見たと言う者まで現れました。
これは困った?入来の長老たちは話し合い。別の道を使うことにしました。
しかし、別の道の開通には何年もの時間と村人総出の労力がかかりました
どうにか開通し無事御遺体を運ぶことができたそうです。
この時の道が現在の長野道路とよばれるところだそうです。
入来峠の化け猫の話はその後長く語りつがれました。おしまい
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