太郎兵衛どんと次郎兵衛どん

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太郎兵衛どんと次郎兵衛どん

先日鹿児島の西に浮かぶ甑島に行ってきました。
今日はそこで聞いた昔話です。
むかし、むかし、太郎兵衛どん夫婦と次郎兵衛どん夫婦が住んでいました。
ある雪の日、一人の目の見えない旅人がこの村にさしかかり一晩宿を借りることにしました。
旅人は近くにあった次郎兵衛どんの家の戸をたたきました。
「わたしは旅のものです。一晩とめていただけませんか？」
次郎兵衛どんが言いました。
「目のみえんもんを泊めれば、貧乏になっど、貧乏じゃっとがなお貧乏になっ。なんも食わすものはなか」
旅人はそういわれ仕方なく、次郎兵衛どんの家を後にした。
しばらく行くと今度は太郎兵衛どんの家の前にきた。
「わたしは旅のものです。一晩とめていただけませんか？」
太郎兵衛どんは戸をあけ、
「まこと雪んなかたいへんじゃな、まあ中にはいやんせ」
「寒かったでしょ。腹もすいちょいやっどが、どうぞ囲炉裏んとこへあがいやんせ」
太郎兵衛どんはそういうと旅人を自分の家にあげなさった。
「すんません。そげん気をつかんでもよかです。土間でよかですから」
恐縮する旅人であったが、太郎兵衛どんは「はよ。めしをだせよ」と奥さんに言うと「すんませんな、残いもんしかなかけどめしあがってくいやんせ」奥さんはいいながらすぐにごはんをだした。
夜になり旅人は便所にたった。目が見えないせいか旅人は便所に落ちてしまった。
太郎兵衛どん夫婦はびっくりして、いそいで便所から引き上げた
「風邪をひっきゃったらいかんで、はよ湯をわかせ」
太郎兵衛どんはくさいのも忘れ旅人を洗ってあげた。
それでも旅人は寒いらしく布団をかぶっても震えていた。
「寒かですか？あたがどんの布団も着いやんせ」
自分たちの布団までかぶせてあげた。
「コケコッコ～～～～～」朝がきた。
太郎兵衛どんは朝おきると真っ先に旅人のところに言った。
「旅人どん、具合はどげんな？」
旅人はぴくりとも動かんかった。
「か～ちゃん。きてみんか？旅人さんが．．．．」
二人はそっと布団をめくった。すると中には旅人はおらず、大判・小判が山積みしてあった。
「うんだもしたん。びっくりした～～」
「こんままではいかんでかますでもつめなあなあ」
二人はかますにそのお金をつめていた。
朝からお金の音がするので、次郎兵衛どんが不思議に思い太郎兵衛どんの家をのぞいた。
「どげんしたんか？」
「かくかくしかじか．．．．．で朝おきたら大判小判がおいてあった」
と昨日の出来事を話した。
次郎兵衛どんは家に帰ると奥さんに太郎兵衛どんの出来事をはなすと
「おまんさも、旅人をはよみっけてきて金持ちにならな．．．はよ見っけてきゃんせ」
次郎兵衛どんは外へ旅人を探しにでかけた。
いい具合に、ちょうど目の見えなない旅人が次郎兵衛どんの前を通った。
「おまんさあ、今日おれの家に泊まれ。わかったか」
というと旅人を無理矢理家へつれこんだ。
「ほれ、はよ飯を食え。」と旅人の口に飯をやり。
「はい、布団へ入れ」「便所にいきたかてか」
嫌がる旅人を便所に連れて行き後ろから便器の中に旅人を押し込んだ。
助けてくれ～と叫ぶ旅人を無私し、
「かーちゃん湯をわかさんか．．水でもよか、頭からかぶせ」
「寒かどが、布団をかぶせ」といってありったけの布団を頭からかぶせたしばらくすると、旅人は動かなくなった。
次郎兵衛どんは「ほれ、明日おきたら大判小判じゃ。はよねっど」
といい旅人をそのままにして寝てしまった。
朝起きた次郎兵衛どんは布団をあげると中に冷たくなった旅人がいた。
「しもた。えらいことになってしまった」
話を聞いた役人が駆け付け次郎兵衛どん夫婦は捕らえられました。
おしまい。

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